江守 希深 (1997年・マレーシア) (Sorry! No photo.)

 第二フェイズはトレッキングプロジェクトでマレー半島最高峰グヌン・タハン(2178m) に登った。メンバーの中で日本人1人になったらとたんにおとなしくなってしまった私。トレッキングがきつく、他のことを気にする余裕がなく、ただ、グループに遅れない様に、迷惑をかけない様にするだけで精一杯だった。


 しかし、色々な非日常を体験できて、エキサイトしたフェイズだった。トレーニングキャンプで習ったことが現実になって川を渡り、ハンモックでの寝起き、穴のトイレ、アリの大群、手のひら大のクモ、夜中の大雨、ゾウの足跡、私しか知らない朝焼け、丘の向こうの向こうの向こうに見えるピーク…。中でも印象に残っているのは、森(ジャングル)のにぎやかさ。夜でも昼でも、何種類もの鳥が鳴いているし、遠くの方で雷はなっているし、サルはどこかで会話(?)しているし、木々はざわめいているし、アリの大群の音までピチピチカサカサ聞こえる。とてもにぎやかなのだけれども、それがすごく心地良くて、熱帯雨林の豊かさを感じた。
 〜登りの時、しんどくて、だらだら単に足を動かすだけになってしまいがちだけど、ほんの少し気合いを入れて、足を上げると、その方が疲れを感じない。何事も同じやるならちょっと気合いを入れた方が、充実を感じるんじゃないだろうか?ちょっと息が切れるけれど、その時は少し休めばいい〜(トレッキングプロジェクト中の日記より)
 山を登りながらそんなことを考えていた。

 前のフェイズからの“このままではだめだ”という気持ちがあったので、意識して「おとなしくならない」ようにしていた。よくしゃべって、いっぱい笑って、第一印象とは全く違う人格に驚かされたり、デイリーダーの時はうまくみんなをまとめられなくてくやしかったり、チリのベンチャラーとUKベンチャラーの板ばさみで悩んだり…。自分という人間が情けなくて、嫌になった時もあったけれど、あるスタッフから「この経験を誰か(みんな)に伝えて、他の人もエクスペディションに参加してほしいと思うか?」と聞かれた時、即座に「もちろん。」と言えたことは、この経験の素晴しさを物語っているだろう。そう言えた自分がうれしかった。エクスペディションという非日常で感じたこと、考えたことをいつまでも忘れずにいたいと思う。(抜粋)